河童と民話図書資料館 投稿歓迎
河童を含む民話や風土志・伝承などの書籍や資料を紹介します。

幸せのかっぱ
牛玖ひろし


  発行日:1995/12/18
  発行元:五月書房
  ISBN:4-7727-0266-0
  定価:2,800円+消費税
 大判の書籍です。

 一見すると、絵本のようですが、そうではありません。河童の絵を得意とする画家の画集です。

 独特な画風ではありますが、あきらかに小川芋銭の影響を受けていると思われます。

 なお、中に1枚、印刷ではない手書きの絵が入っていました。この画集を買ったときに、一緒に画家の真筆画を飼ったのかも知れません。



遠野の河童たち
原美穂子


  発行日:1992/07/13
  発行元:風琳堂
  ISBN:
  定価:2,060円+消費税
 著者の来歴等は不明です。研究者ではないようです。

 遠野を愛することから、出版されている書籍により、遠野と河童を研究し、本人なりの河童論を展開している。そんな本です。

 これも、商業出版ではなく、自費出版でしょう。


河童を見た人々
高橋貞子


  発行日:1996/06
  発行元:岩田書店
  ISBN:4-900697-54-0
  定価:1,456円+消費税
 日本口承文芸学会や日本民話の会に所属する作者が、岩手県の岩和泉町を中心に、河童を見たと証言する人たちへの聞き書きを調査などを元にまとめた、民俗学的な研究書です。


いわて河童物語
金野静一


  発行日:1982/12/20
  発行元:熊谷印刷
  ISBN:
  定価:1,300円+消費税
 岩手県立の高等校長である著者が、岩手地方の河童に関する物語を、すでに出版されている多くの書籍から、抜粋して分類しまとめた本です。

 商業出版ではなく、自費出版と思われます。


河童 フォークロアの視点1
大島建彦編


  発行日:1968/04/28
  発行元:岩崎美術社
  ISBN:
  定価:1,800円
 9人の研究者による共著であり、河童の伝説や伝承の分布などを像かつて貴似解説した本です。

 内容的には、既知の(すくなくとも私には)ことがらがほとんどです。ISBN番号も付いていませんので、なんらかのグループによる自費出版かも知れません。


天竜河童 北島新平画文集
北島新平


  発行日:1995/04/28
  発行元:郷土出版社
  ISBN:4-87663-279-0
  定価:9,800円+消費税
 画家であり、民話作家でもある北島新平氏の河童をテーマとしてえと文章を集めた本です。


河童駒引考
石田英一郎


  発行日:1948/01/30
  発行元:筑摩書房
  ISBN:
  定価:170円
 すでに、文庫本と、東京大学出版会での復刻版を所蔵していましたが、今回、石田博士ご自身が出版された、貴重な初版本を入手しました。

 終戦直後の昭和23年の出版なので、わら半紙のような紙に印刷されていて、時代を感じます。

2015/01/02

河童曼荼羅
火野葦平


  発行日:1984/01/25(復刻版)
  発行元:国書刊行会
  ISBN:
  定価:15,000円
 昭和32年に、私家限定本として、少数が刊行された書籍ですが、昭和59年に復刻版として刊行されたものです。

 河童伝承を基にした創作民話的な短編小説や、河童の絵、書、エッセイなどが収録されています。

 大判であり、600ページ近い大型本です。

2015/01/02

河童とはなにか
常光徹


  発行日:2014/03/31
  発行元:岩田書院
  ISBN:978-4-87294-853-0
  定価:2,800円+消費税
 国立歴史民俗博物館に設置された『妖怪の世界』コーナーを構築するにあたり、開催された、『歴博フォーラム』の成果をまとめた書籍です。

 河童についての、多角的なアプローチを基にした、これまでの妖怪研究を、判り易くまとめられています。

 個人の河童好きが、趣味でまとまた本ではなく、民俗学手3期菜視点からまとめられています。
2014/12/20

河童昇天
萬造寺龍


  発行日:1949/06/25
  発行元:後樂書房
  ISBN:
  定価:150円(発行当時価格)
 著者は、個人で河童の民話を研究していた方のようです。

 全国各地の民話集に取材し、整理して就労苦しています。その数は河童が64編、中国の河童類似の話が6編、なぜか、雷の話が11編収録されています。

 この本が出版されたのは、私が生まれる1ヶ月前です。その当時の認識で書かれています。これは、かなりの資料です。と言うのは、現在一般的に普及している河童伝承とは、微妙に異なる部分があるのです。例えば、現在は利根川下流の河童伝承とされている『ネネコ伝説』について、ネネコの住処を『上州利根』としています。利根川の下流ではなく、中流である、群馬県の伊勢崎市と、私が住んでいる太田市の間と書いています。今から70年前には、それが常識だったのでしょう。伝承が変化しているのです。

 読み物として書かれた本ですが、資料としても貴重です。

 
2014/12/04

民間伝承論(柳田國男全集より)
柳田國男


  発行日:1990/12/04
  発行元:筑摩書房 ちくま文庫
  ISBN:4-480-02428-X
  定価:1,097円+消費税(初版価格)
 柳田國男全集の28巻に収録されているのが『民間伝承論』です。

 ここにおける『民間』とは、行政的な『官』に対する、官以外の人々という意味ではありません。

 いわゆる、知識階層などの学問的な思考を持つ人たちの反対。

 つまり、市井の人々を意味します。よって『民間伝承』とは、知識階層の間で伝わる、学問知識的な物では無い知識や知見。言って見れば、無学な人々のあいだで、口伝えで伝播するような物語や伝承のことです。

 河童の話も、学術論文で語られることはほとんどありません。むしろ、迷信や誤解や、科学的な知識の欠落から発せられたというのがほとんどの伝承です。

 だからこそ、厄介な存在なのです。正しい方法論を持って研究する必要があるのです。

 河童の伝承に関心を持つのならば、50年以上も前に書かれている論文ですが、示唆される部分が多く含まれている論文です。まさに、日本民俗学における、優れた教科書とも言える本ですので、いやしくも、河童の伝承を論じるのであれば、この論文は読んでおく必要があります。

 
2012/09/19

日本霊異記(上・中・下)全訳注
中田祝夫


  発行日:1978/12/20
  発行元:集英社 学術文庫
  ISBN:4-06-158335-2ほか
  定価:全巻揃い:2,000円+消費税(1990年価格)
 日本書紀や古事記に続いて編纂された、日本最古の仏教説話集です。

 中国の怪異説話集を手本に、仏教の僧侶が編集した、不思議な話や、怪異な事物を主題とした物語を集めた本です。

 編纂の目的は、仏教の優位性を、民衆に説くことが中心ですが、仏教以前の、神話の世界に取材した内容も含まれています。

 この書籍が、次の時代の、『今昔物語』に、大きな影響を与えたとされている重要書籍です。

 今の学校教育では、ほとんど扱われない書籍なのですが、江戸時代、教養のある武士や町人ならば、学問所や手習い所や寺子屋で、ほとんどの人が読んでいたほどの、有名な書籍です。

 河童や妖怪を研究するなら、最低限の教養として、読んでおかなければならない必読書です。読んでいないとしたら、江戸時代の人たちにすら、教養的に負けているということですよ。
2011/09/09

別冊太陽 日本のこころ 170 妖怪絵巻
小松和彦=監修


  発行日:2010/07/24
  発行元:平凡社
  ISBN:978-4-582-92170-0
  定価:2,300円+消費税
 中世から江戸時代にかけ、盛んに描かれた『絵巻』。

 その中には、異界や妖怪を扱ったものが、数多くありました。

 本書は、有名な『大江山絵詞』『酒伝童子絵巻』『土蜘蛛草紙』『百鬼夜行絵巻』などが収蔵されています。

 フルカラーの印刷された絵巻は、圧巻です。

2011/02/15

カッパの飼い方
石川優吾


  発行日:2010/02/20
  発行元:集英社
  ISBN:978-4-08-109889-7
  定価:381円+消費税
 少年漫画雑誌、ヤングジャンプに連載され、単行本にもなっている人気漫画シリーズ『カッパの飼い方』の新シリーズの第一冊目です。

 これまでの作人の中から、代表的なエピソードを収録した総集編です。

 本の中には、漫画の他に、各地の河童名勝などを紹介したコラムページがあります。その中に、このホームページ『河童大学』が紹介されています・

2010/02/14

水木しげるの遠野物語
水木しげる


  発行日:2010/02/03
  発行元:小学館
  ISBN:978-4-09-182879-8
  定価:1,238円+消費税
 漫画雑誌の『ビックコミック』に、23回にわたって連載された漫画を、1冊にまとめた本です。

 柳田國男の『遠野物語』から、主要な話を漫画化しています。

 ただ、柳田國男先生が大き過ぎる存在なのでしょうか、漫画は、ストーリーを漫画で描いているだけという内容が多く、『水木しげる』らしさがほとんど感じられませんでした。

 遠野物語の漫画版としては良く出来ていると思いますが、『水木しげるの〜』と題しているのですから、ちょっと残念です。

2010/02/10

井上円了・妖怪学全集 全6巻
井上 円了


  発行日:1999/03/31
  発行元:柏書房
  ISBN:4-7601-1721-0/ほか
  定価:全巻揃い:43,800円+消費税
 東洋大学を創立され、仏教哲学者であった井上円了博士は、江戸時代に生まれました。少年期までを江戸時代に過ごし、青年期に明治維新を迎え、価値観の激変を体験した方です。

 子供の頃から妖怪が大好きであり、妖怪に関する研究は少年期から始まったそうです。

 それが、明治初期の知識人が陥った間違った風潮である、西洋文明崇拝の流れの中、『妖怪現象は、すべて迷信や誤解に基づくものであり、科学技術で解明が可能である』と、硬く信じるようになったのだそうです。

 ただ、そうは言っても、根っこは『妖怪大好き』には変わりがありません。そのあたりは、読み進めればはっきりとすると思っています。

 その集体系が、膨大な『妖怪学講義(1巻〜3巻)』です。この全集には、その他にも、雑誌などに発表した妖怪に関する知識や解説の文章が収められています。

 なにしろ、膨大なページ数の全集ですので、全て読むには数十年はかかるでしょうから(^ム^;)、拾い読みになると思います。

2009/10/05

江戸諸国百物語
人文社編集部編


  発行日:2005/11/01
  発行元:人文社
  ISBN:4-7959-1955-0/4-7959-1956-9
  定価:各1,900円+消費税
 江戸時代に多数発行された、妖怪や怪談・奇談を集めた絵図を、地域別に2冊に整理して掲載した本です。

 妖怪研究の参考書として便利な本であると思います。

2009/09/11

日本と西洋の妖怪比べ
角田 義治


  発行日:2007/04/15
  発行元:有限会社 幹書房
  ISBN:978-4-902615-23-4
  定価:1,714円+消費税
 河童や山姥、天狗など、日本の代表的な妖怪とそれに対応するゆような西洋の妖怪を紹介した本です。

 図書館で見つけて買おうと思ったのですが、すでに絶版ようです。インターネットの書店では売られていませんでした。

 私の「河童平成絵巻」もそうですが、マイナーなテーマの本は、なかなか再版されませんね。

2009/09/11

百鬼夜行の世界
 


  発行日:2009/07/10
  発行元:人間文化研究機構
  ISBN: 
  定価:1,800円(消費税込み)
 国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)にて開催された特別展示『百鬼夜行の世界』のために作成されたカタログです。

 当日展示されていた絵巻だけではなく、現存する代表的な絵巻や絵本をカラー写真で掲載し、詳細な解説もついています。

 妖怪研究には必携の本です。

2009/08/27

福島・会津の昔話し
 


  発行日: 
  出版社: 
  ISBN: 
  定価:各630円(消費税込み)
 各地の『道の駅』に行くと、時々置いてある地域の昔話を紹介する冊子です。

 この二冊は、安達の道の駅で購入しました。

2009/08/09

画図百鬼夜行全図集
鳥山 石燕


  発行日:2005年7月25日
  出版社:角川書店
  ISBN:978-4-04-405101-3
  定価:667円(消費税別)(第12刷)
 江戸時代、数多く描かれた百鬼夜行です。

 そんな中で、狩野派の絵師であった、『鳥山 燕』による画集です。

2009/05/05

日本妖怪変化史
江馬 務


  発行日:1976年6月10日
  出版社:中央公論社
  ISBN:4-12-204384-0
  定価:857円(消費税別)(改版)
 風俗史学者である著者による妖怪論です。

 妖怪の研究としては、民俗学の観点から研究した柳田国男が有名ですが、この本は、大正十二年、柳田に先駆けて発表されていた妖怪論です。
2009/05/05

妖怪の民俗学
宮田 登


  発行日:2002年6月10日
  出版社:筑摩書房
  ISBN:4-480-08699-4
  定価:1,000円(消費税別)(第3刷)
 民俗学者である宮田登氏による、民俗学的見地から妖怪を分析した本です。

 柳田国男氏の妖怪研究を再検討しつつ、日本各地の様々な怪異現象を分析し、妖怪とは何か、都市空間の持つ魔性を探求しています。

 日本人の特異な精神構造こそ、目に見えない独特な時間・空間を作り出していると説く。
2008/12/28

民俗学の旅
宮本 常一


  発行日:1993年12月10日
  出版社:講談社
  ISBN:4-06-159104-5
  定価:880円(消費税別)(第28刷)
 生涯にわたり、全国をくまなく歩き続けた著者の行動は、日本民俗学体系への確かな歩みでした。

 柳田国男氏や渋沢敬三氏など、師や友との回想を交えながら。体験的実験的踏査を克明かつ感動的に綴った本です。

2008/12/28

日本妖怪異聞録
小松 和彦


  発行日:2007年8月10日
  出版社:講談社
  ISBN:978-4-06-159830-0
  定価:800円(消費税別)
 日本書紀を始め、古い書物にも妖怪の話は数え切れないほどあります。

 日本文化史に残る妖怪とその変化を、代表的な妖怪により解説しています。

2008/12/28

柳田国男入門
鶴見 太郎


  発行日:2008年9月10日
  出版社:角川芸術出版
  ISBN:978-4-04-703429-7
  定価:1,400円(消費税別)
 日本民俗学の祖は、言うまでも無く柳田国男ですが、現代の日本民俗学は、世界の民俗学とも連携し、社会学の一分野として 発展しており、原点である『柳田民俗学』とは離れつつあります。

 それはそれとして、良いことではあり、進めてゆかなければならないことなのですが、このあたりで、もう一度原点を見つけたいと 思っていました、そんな時に、出版されたのがこの本です。

 日本近代史を専門とする著者による、『柳田民俗学が本来目指したものとは何か』を、テーマとした本です。

2008/12/28

竹の民俗誌
白石 昭臣


  発行日:2005年6月15日
  出版社:大河書房
  ISBN:4-902417-08-1
  定価:3,300円(消費税別)
 かつて、いたるところに竹林がありました。物干しは竹竿を使うことが普通でした。

 中学生の頃、アマチュア無線を始めたのですが、アンテナは長い竹竿を使うことが一般的、近所の竹林を持つお宅に行き、適当な竹を頂いて柱にし、横に長い銅線を張って アンテナとしていたのです。今は、鉄製のタワーを組むのが普通ですが、当時はエコでした(^0_0^)

 通信機も、今は販売店で送受信できるトランシーバーを買って無線局を作るのが当たり前かも知れませんが、当時は、市販の無線機など無く、雑誌などを参考に 自分で通信機を設計し組み立てて作ったものです。40年以上も昔の話ですが(^ム^;)

 竹は、根が広がることから嫌われ、都市部では竹林をまったく見ることがないようになりましたね。しかし、かつては多かったのです。なぜでしょう。それだけ、竹は利用価値の多い植物だったからです。

 竹を使った民具や、筍を使った料理など、竹と日本人とのかかわり、それは民俗(民の風俗)です。稲と同じく、外来植物である竹の伝来と、それが定着し日本民族に深く係わり民俗になったことなど、これまで、 あまり注目されなかった竹にフォーカスを当て、民俗学的に解説した興味深い本です。

2008/12/17

柳田国男と事件の記録
内田 隆三
柳田国男と事件の記録


  発行日:1995年2月10日
  出版社:講談社
  ISBN:4-06-258040-3
  定価:1,500円(消費税別)
 この本は、民話や伝承の本ではありません。

 社会学者が書いた、柳田国男論の本です。柳田先生というと、『東野物語』や『山の人生』などを通じて日本民俗学を確立した偉大な方です。

 民俗学そのものの説明をしているのではありませんが、柳田先生の独特な『文体』や視点をテーマにしていて、それが、民俗学研究のアプローチへのヒントになると思います。

 民話や伝承を集め研究したいと思っている方にとっては、参考になる貴重な本です。

 ただし、すでに絶版になっており、一般の書店では買うことができません。私は、古書店で入手しました。

2008/12/13

日本幻獣図説
湯本 豪一


  発行日:2005年7月12日
  出版社:河出書房新社
  ISBN:4-309-22431-8
  定価:2,200円(消費税別)
 江戸時代には、多くの妖怪の絵が描かれています。

 それは、子供たちの絵本でした。親は子に、そんな絵を与え、子供は想像力を膨らませることで遊びました。

 絵師は、子供たちのため、想像力を駆使して絵を描いていたのです。実に、豊かな精神性の世界でした。

 経済偏重、お金がすべての資本主義社会、それが悪いとは言いませんが、想像力豊かな世界も懐かしいものです。

 そんな、江戸時代の『幻の獣』を集めたのが、この本です。

2008/12/04

江戸の怪奇譚
氏家 幹人


  発行日:2005年12月15日
  出版社:講談社
  ISBN:4-06-269260-0
  定価:1,700円(消費税別)
 江戸時代、妖怪は子供たちの玩具でした。

 仏教が広く伝わっているとはいえ、神様もいました。お寺と神社が同居する。実に日本的な宗教環境です。

 自然を愛し敬意する。その自然から妖怪は生まれるのです。日本人の民俗的な豊かさはここにあると私は思っています。

 江戸時代に流布していた怪奇譚を集めたのがこの本です。

2008/12/04

宗教民俗学入門
宮家 準


  発行日:2002年7月23日
  出版社:丸善株式会社
  ISBN:4-621-07062-2
  定価:1,700円(消費税別)
 日本人は、特定の宗教を持たない人がほとんどです。しかし、その根底には、意識していない見えない宗教観があります。 そんな日本人の民俗的な宗教について詳しく解説している本です。

 河童を理解する上での基礎知識として、読んでおかなければならない本です。

 実は、この本は、私の蔵書ではありません。図書館で借りた物です。ぜひ、購入したいと思い、探してみたのですが、すでに絶版となっており 入手できませんでした。残念です。

 その内、神田の古書店街にでも行って、探してみるつもりです。

2008/12/03

群馬の民話 傑作選
木暮正夫ほか


  発行日:2007年11月21日
  出版社:あかぎ出版
  ISBN:978-4-901189-51-4
  定価:1,800円(消費税別)
 平成2年に、全十二巻として出版された群馬の民話全集より、60話を厳選した単行本です。

 河童の民話も2話収蔵されています。

 一つは、類例が良くある『河童の薬』の話ですが、もう一つが珍しい『天に昇りそこねたカッパ』という話です。
2008/11/30

新マニア解体新書
ジェネオン


  定価:3,800円(消費税込)
 衛星放送のスカイパーフェクトで、司会者の山田五郎が、各種の趣味に精通している人を呼び、話を聴く番組があります。

 そこで、『河童マニア』として、このホームページの管理者が出演しました。

 番組は1時間ですが、このDVDは編集してあります。

 資料と言うにはおこがましい気もしますが、掲載いたします。

2008/09/01

日本妖怪大百科
講談社


  発行日:2007/10/25
  出版社:講談社
  ISBN:978-4-06-370031-2
  定価:600円(消費税込)
 講談社が、全10冊のムックとして、妖怪シリーズ本を発行しています。

 その第一冊目が『河童と水辺の妖怪』です。

 私は、妖怪にはあまり興味はありません。民話が源泉であり、そこから派生した河童であり妖怪については、研究テーマとなりますが、妖怪そのものを研究テーマとはしていないからです。

 ただ、妖怪シリーズの最初が『河童』であることは、単純に嬉しいと感じています。やっぱり、河童好きなのですね(^0_0^)

 各地の河童伝説地図と、『水木しげる』氏のインタビュー記事が出色です。

2008/04/13

日本列島河童発見伝
清野文男・岩永鈴代


  発行日:2007/08/13
  出版社:F&S-Kappa出版
  ISBN:
  定価:3,000円(消費税込)

 河童を愛する民族写真家と、翻訳家でありコラムニストのお二人が、全国35都道府県をご自分達の足で歩いて取材しまとめ上げた本です。

 河童にちなむ各地を、豊富な写真と文章により紹介しています。河童をテーマに旅をする。そんな方には最適な『河童探検旅ガイド』です。

 撮影者の清野氏は、河童連邦共和国千葉かっぱ村村長でもありました。文章は、奥様の鈴代さん。

 6年の歳月を費やし取材が終わった時、清野氏は病魔に冒されていました。この本の完成を待たず、清野氏は58歳の若さで他界されてしまいました。

 自費出版されたこの本は、書店では入手ができません。ご希望の方は、下記のアドレス宛にメールにてご連絡ください。

 fumisuzu_kappa@yahoo.co.jp

2008/02/17

カッパのかーやん
溝江 玲子


  発行日:1996/11/20
  出版社:新日本出版社
  ISBN:4-406-02479-4
  定価:1,400円+消費税

 小学校高学年向の副教材本です。

 カッパをテーマにした、童話小説ですね。
2007/09/30

河童の世界
石川 純一郎


  初版発行日:1974/08/20
  出版社:時事通信社
  ISBN:
  定価:1,200円+消費税(3刷)

 民俗学者『石川 純一郎』氏による河童解説書です。

 各地に残る河童伝説を元に広く河童を解説しています。また、民俗学の祖、柳田國雄先生とその学会がまとめた資料等を詳細に参照して学術的に解説しています。

 単なる河童好きによる本ではなく、学者としての見識に基づいているところが、他の河童本とは異なります。

 ただ、あくまでも、明治時代の研究結果を基にしており、この本自体も30年以上も前の出版なので、当然ですがその後の研究成果が反映はされていません。

 水神の系譜(河童の系譜と言い換えても良いと思います)を、甲羅がある動物型と、頭にお皿があり子供の大きさの人間型の二つに分類しています。(頭にお皿があり、背中に甲羅がある現在の河童のイメージは、ごく近代になって、二つの流れが 合体した新しいイメージです)柳田民俗学の伝統的考え方と思いますが、大和民族古来の水神である蛇と竜について、むりやり、 動物型の変形に加えるなど、苦しい言い訳をしています。日本人を、単一民族と信じて疑わない考え方が根底にあるからでしょう。

 日本人は単一民族ではありません。大和民族が渡来する以前の民族が存在し、伝承も二つの流れがあるのです。また、秀吉の朝鮮出兵(多数の日本人が海外文化に触れるという、文化的には大事件)とその後の 朝鮮人と中国人陶工の日本への大量移民によりもたらされた文化など、日本には複数の流れの文化・伝承があるのです。とすると、水神の系譜は二つではなく、動物型河童の系譜と蛇竜の系譜とはまったく別に考えるほうが正しいのです。

 とは言え、古さはありますが、この種の河童本は、河童好きがこうじ、偏見に満ちた独善的な意見を書き散らす本が多い中で、貴重な本と思います。
2007/09/30

小川芋銭の世界
鈴木 光夫




  発行日:197487/12/01
  出版社:教育書籍株式会社
  ISBN:4-317-60016-1
  定価:3,800円+消費税

 芋銭生誕120年・没後50年を記念した出版本です。

 芋銭を良く知る作者による、芋銭の正確な伝記として、芋銭の絵と人となりを紹介しています。

 また、特に河童絵については、初期から晩年まで、その変遷についても具体的な絵入りで詳しく解説しています。

 箱の帯には『牛久沼の画聖小川芋銭の全貌に鋭く迫った注目の書き下ろし。河童図の秘密を解き明かす執念の書。』と、すこし、大げさに印刷されています。

 いずれにしても、芋銭河童愛好者には、必携の書であることに間違いはありません。


2007/01/06

河童の研究
大野 桂


  発行日:1994/11/15
  出版社:三一書房
  ISBN:4-380-94270-8
  定価:2,427円+消費税

 放送作家である筆者が、出版社からの依頼により、取材を通して河童を研究、まとめた本です。

 さすがに作家の書かれた河童入門書です。広く資料を集め、判りやすい読み物に仕上がっています。

 特に河童の愛好家ではないらしいことがかえって、変な色の付いていない公平な河童解説書となっていて、好感がもてる本です。

2006/12/31

河童の系譜
安藤操・清野文男


  発行日:1993/09/08
  出版社:五月書房
  ISBN:4-7727-0127-3
  定価:2,400円+消費税

 現在は廃村となっていますが、かつて河童連邦共和国に所属していた『千葉かっぱ村』の村長と村議会議長の肩書きを持たれるお二人が、共著で書かれた(出版された当時は 河童連邦共和国に所属していました)河童研究書です。

 小学校の校長であり、民話を研究していた安藤氏と写真家でもある清野氏が、各地の河童伝承などから浮かび上がる河童のイメージをまとめたものです。

 河童の入門書として、よくまとまった好書です。

2006/11/12

河童伝承大事典
和田寛(編)


  発行日:2005/06/
  出版社:岩田書店
  ISBN:4-87294-385-6
  定価:9,500円+消費税

 河童連邦共和国堺かっぱ村村長であり、永く図書館に勤務されていた和田氏が、40年にわたり、全国を訪ね集めた河童の伝承や類似した伝承を 整理し編集した河童事典です。

 A4版ほどの大きな本であり、800頁近くもある膨大な資料です。

 河童の伝承は、類似したテーマが地域により微妙に変化して伝わっています。そこには、それぞれの地域の風土や民族性が濃い影響を与えていると思われます。この本にも、 同じテーマによる伝承が各地に重複して記載されています。

 きっと、だれかが流布したからこそと思っていますし、この本を使えば、分布図も創れそうです。まあ、それはまた、別の研究として、私は、民俗学的な観点から、 伝承されている間に変化した差異に注目しています。今は現役サラリーマンですので時間が取れませんが、将来は、そんな観点からの研究をしたいと思っています。しかし、今は消えかかっている 伝承を自ら集める作業は不可能に近いと思います。和田村長の、この労作は、きっと、将来の私の研究に、重要な資料となってくれると思っています。

2006/09/08


 私のライフワークとして、民族性研究の他に、各地の伝承をネタに、創作活動としての短編小説を書いています。この本に集められた伝承は、私に創作意欲を与えてくれるのではと、期待しています。

渋江公昭家文書目録
神奈川大学大学院


  発行日:2005/03/31
  出版社:神奈川大学大学院
  ISBN:
  定価:

 オークションで入手しました。

 熊本県菊池市水源に在所する天地元水神社(河童信仰の神社)の宮司を勤める渋江家に伝わる古文書の目録です。

 目録ですが、主だった古文書の写真が付いています。その中には、河童に関する記述が多数含まれており入手しました。
2006/08/26

河童百態
児玉三鈴


  発行日:1982/05/19
  著者:児玉三鈴
  出版社:村田書店
  ISBN:
  定価:4,800円+消費税

 日本画家児玉氏が百態の河童を描いている画集です。

 画風は、小川芋銭に似ています。ちょっと怖い河童です。

 氏の描かれる河童は、明確に「くちばし」が描かれた河童です。

 貴重なのは、氏がこの作品を描くにあたり、集めた河童に関する伝承などの資料が巻末に添えられていることです。なかなか詳しく広範囲にわたり 収集した資料ですので、私にとっては、こちらの方が嬉しかったです。
2006/01/14

こどもの民話全集   童音社版全24巻
 インターネットのオークションで購入しました。24冊揃いで4,000円でした。箱入りでしたので新古本なのではと思います。

 24巻で構成されており、1冊に、二つの県のそれぞれ一話が載っています。子供でも読めるようにひらがなを中心にして絵入りで印刷されています。民話の本というよりも、絵本ですね。

 1977年、昭和52年の印刷です。出版時の価格は、各冊580円でした。
2005/10/10

河童平成絵巻
佐々木篤(創作民話・監修・撮影)


  発行日:2005/10/05
  著者:佐々木篤(創作民話・監修・撮影)
  出版社:ピエブックス
  ISBN:4-89444-461-5
  定価:2,800円+消費税

 河童の絵画や焼物や根付などの写真と創作民話、河童の解説などに加え、芥川龍之介の「河童」までを収録した本です。

 写真に撮られている書籍や物は、私の所蔵品であり、撮影も私がしました。

 もちろん、創作民話も私が書いています。
2005/10/02

兒戯 尾張三河童遊集
小寺玉晁
 


  発行日:1977/02/10(復刻版)
  (オリジナル版発行は明治初期と思われます)
  著者:小寺玉晁
  出版社:未来社
  ISBN:
  定価:17,000円+消費税
  限定1,000部の内373番

 実は、間違って入手してしまいました(^ム^;)

 「河童」で検索して見つけ、河童の本だと思って落札したのですが、この本は、河童の本ではなく、三河の童遊びに本なのです。

 「三河」の『河』と、「童遊び」の『童』が繋がって検索されたのでした。

 この本は、幕末(19世紀後半)の民俗学的収集家である筆者が、童謡や子供の遊びの様子を記録した歴史的著作を復刻した限定出版本でした。

 資料としてはかなり貴重な物です。偶然とはいえ、良い買い物だったと思っています。
2005/10/01

河童アジア考
斎藤次男


  発行日:1994/06/10
  著者:斎藤次男
  出版社:彩流社
  ISBN:4-88202-303-2
  定価:1,900円+消費税

 著者は、「おはなはん」や「男はつらいよ」を担当する映画会社松竹のプロジューサーです。

 著者があとがきに書いているように、河童や伝承についての学術書ではなく、河童をテーマとしてルポルタージュです。河童好きの気軽な読み物といった書籍です。

 牛久や遠野、八代の河童や祭りを取材し、なんと、香港の水上生活者を河童に見立て、「河童のふるさとをたずねて」と題した取材記事まで 載っています。著者の主張によると、河童とは、水上生活をする民族の元ということのようです。

 遠野のページに「カッパ淵」に座る老人の写真が載っていました。おそらく、初代「河童おじさん」阿部与一氏のようです。
2005/08/12

歴史民族学
河童民族研究会


  発行日:2004/03/10
  著者:河童民族研究会
  出版社:評論社
  定価:1,800円+消費税

 河童に関する書籍と思って購入しました。確かに形は書籍でしたが……。

 いわゆるムック、雑誌のように、河童を取材した本でした。

 河童の村も出てきますし、芥川龍之介の「河童」も話題に出てくる。

 残念ながら民話の資料や研究書ではありませんでした。

 まあ、楽しめるから良いでしょう。でも、私が編集したり著作していたら、もっと良い本になっていたでしょうね(^ム^;)
2005/08/06

朝鮮昔話百選
崔仁鶴


  発行日:1974/11/01
  著者:崔仁鶴
  出版社:日本放送出版協会
  定価:2,000円

 韓国出身で、日本の大学で民俗学を研究する著者がまとめた、故郷朝鮮の民話集です。

 河童に類した妖怪の民話が無いかと通読してみましたが、残念ながらありませんでした。日本と同じ米作農耕民族ですから、無いはずはないのですが、収録されていません。

 比較民俗学を専門としている著者ですので、巻末に同じようなテーマの日本の民話との対照表が載っています。それを見ると、 たしかに、テーマは同じでも、大きな違いがあることに、私は気がつきました。

 日本の民話は、そこに描かれている人は庶民、それもどちらかというと貧しい農民や漁民の話が多いのですが、朝鮮の民話はそうではなさそうなのです。 市民であっても、裕福な市民、役人や地主階級など、どちらかというと支配階級が主要な登場人物なのです。

 儒教の国であって上向志向が強い韓国です。貧しい庶民の話など伝える意味が無いということなのでしょうかね。

 まあ、中国の民話も、科挙の試験に受かったようなエリートや、美人で王室に招かれた女性、武力の英雄や、高い能力を持ちながら山に篭る仙人、お金持ちに かかわる話題など、どちらかというと庶民のが登場する民話は少なそうです。

 庶民文化を伝えることは、日本のお家芸(日本の食文化は庶民料理が中心ですが、中国などは宮廷料理はあっても、庶民料理はほとんど伝承されていない)ですが、むしろ、伝承され残るような話は、 庶民ではなく特別な人の話という諸外国の感覚の方が、むしろ普通なのかも……。
2005/07/17

北はりま、丹波
昔ばなし百話
共同編集


  発行日:1985/10/18
  発行者:風車卸衣料株式会社
  編集者:杉浦省三ほか
  定 価:非売品

 北播磨の某会社が、創立25周年を記念して企画し刊行された本だそうです。

 地域に住む一般市民から募集した民話や郷土の話題が集められています。

 百話と題していますが、本編100件の他に、別録として19件が収めてあります。

 一般市民からの投稿ですから、古い民話伝承ばかりではなく、最近の話や、この地域を越えて(アフリカの話が含まれていて笑ってしまいました)の話なども含まれていますが、それはご愛嬌でしょう。

 いずれにしても、資料としては面白そうです。ただ、収録されている話を使うとすると、追加の検証が必要でしょうね。

 残念ながら、河童の話は含まれていませんでした。
2005/07/17

白川郷の伝説と民話
西野機繁


  初版発行日:1972/04/01
  著者:西野機繁
  出版社:白川村観光協会
  定価:350円(1972年)

 白川村の村長が筆者に依頼してまとめたと巻頭に書かれている郷土の民話集です。

 観光協会が出版元になっていますから、みやげ物売り場等で売られた書籍でしょう。

 ざっと目を通してみました。おそらく、筆者は民俗学に学識や造詣のある方では無いでしょう。伝承を集めたというよりは、 寺や旧家に残った古文書の説明が中心です。古老からの話も、古い物ではなく、語っているのが老人というだけで最近の話題が多く、 伝承の本としては価値は高く無いと感じました。

 観光地に行くと、この種の本が売られています。「だったらうちも」そんな安易な発想で造られた本でしょう。

 そうはいっても、そもそもが、印刷物としては残るような文化の無い地方での記録本です。資料としての価値は高くは無くも、無価値とは思っていません。 めくってみると、ほとんどが、つたない素人の文章であり、とてもその地域オリジナルとは思えない、どこか他の地域の伝承を焼き直したような話が並ぶ。 そんな本が多いものです。観光客向のいいかげんな印刷物といえばその通りですが、それでも、集めておかないと後世では手に入らない内容も少しは含まれているものです。 そんな物が、この本にも有るのではないか、そんな気持ちでこの本もオークションで入手しました。
2005/07/01

日本の民話   未来社(ぽるぷ)版全26巻
 日本各地の膨大な民話を、26巻に収蔵した全集です。

 第1巻「津軽」から始まり、第26巻「沖縄・八丈島」で終わっています。発行されたのが昭和53年です。絵本の出版社ぽるぷ社が販売元です。

 26巻すべての発行日が同じです。普通に書店向に発行した書籍ではありえませんね。記憶が定かではありませんが、訪問販売で売られたのではないかと思います。

 インターネットのオークションで購入しました。落札価格はなんと1,000円。申し訳ないような価格でした。
2005/06/30

房総の年輪
高橋在久


  初版発行日:1972/10/15
  著者:高橋在久
  出版社:創樹社
  定価:1,500円(1983年)

 千葉県の自然や世相、伝承などをまとめた本です。広い分野を、多岐にわたり、驚くほど情報を集めています。

 著者は、この種の本に多い、地域の教育関係者です。

 地域の伝承もごくごく短い文章で記録しています。その数92。伝承の概要を事務的な文章で淡々と記しています。

 インターネットオークションで入手したのですが、もう少し、伝承が詳しく記載されているかと期待していましたが残念でした。

 奥付けを読むと、何冊も本を出版している方のようです。私も本を書く、書きたい人間ですが、書くからには命を込めたいと思っていますし、過去に出版した時には命を込めました。 でも、この本を読むと、著者は命を吹き込んではいません。ただ、知識を舌足らずな下手な文章で書き並べているだけ。まあ、元教育者の出版する本にはそんなものが多いですが。

 おそらく、ご本人は、何冊も著書があるので、鼻高々なのでしょうね。こんな本を出版して恥ずかしくはないのでしょう。出版社も良い本を出版するとの意識は無いのでしょう。 著者が業界に名が売れていてれば、関係者にそこそこ売れる。それを期待しての出版でしょう(入手した本は3版ですから、売れたことは売れたのでしょう)、買った人は、だれも読まない。 でも、売れればそれで良いと思っているのでしょうね。そんな出版界もあるのは解っていますけど、嫌ですね。
2005/06/29

傅説と奇談   山田書院版全18冊の内の14冊
 インターネットのオークションで購入しました。

 刊行順序は「東京」からのはずですが、奥付けを見ると、なぜか、「東京」は昭和41年7月、二番目だったはずの「近畿(1)」が、先に発行され、5月となっています。全18冊とのことですが、今回入手したのは1から14まででした。それ以降が出版されたのかどうかは不明です。

 いずれにしても、かつて流行したグラフ雑誌のスタイルで発行された書籍です。まあ、今で言えば、「ムック」なのでしょう。

 文章(はっきり言って、へたくそな文章です)よりも、写真が多数掲載されている本です。よく集めた、そう思うほどのボリュームです。しかも、各冊には、横長の見開きで浮世絵や草書などの図版を2枚づつ収録しています。

 全体から受ける印象は、かなりマニアックの、どちらかというと「気味の悪い」「悪趣味」な造り方です。いかにも、「右翼」傾向の強い人が、自己満足で舞い上がって出版した。そんな雰囲気のするシリーズです。

 でも、偏見には満ちているとは思うものの、資料としては貴重ではないかと思っています。
2005/06/26

日本の民話   角川書店版全12巻
 インターネットのオークションで購入しました。やはり、信じられないほどの価格です。民話関係の本は人気が無いのですね。

 このシリーズは、テーマ別に12巻で構成されています。

 たとえば、「動物の世界」「乱世に生きる」「土着の信仰」「妖怪と人間」などなど。

 初版の第一回が出版されたのは昭和48年(1973年)です。出版時の価格は、各冊890円でした。
2005/06/26

日本の民話   ぎょうせい社版全12巻


 インターネットのオークションで、信じられない価格(送料や振込手数料を含めて3,000円強)で入手した本です。

 全国の各地を地域別に12巻で構成されています。

 昭和54年(1979年)に1巻目の「北海道」が出版されています。当時の価格は1冊が1,500円でした。
2005/06/26

聴耳草紙
佐々木喜善


  初版発行日:1964/9/2
  著者:佐々木喜善
  出版社:筑摩書房
  定価:1,100円(1975年)


 民俗学の創始者、柳田國男氏が、「遠野物語」を執筆するきっかけを作ったのが、著者である「佐々木喜善」氏であるといわれています。

 聴耳草紙は、遠野地方の昔話を集大成して出版された本です。

 収録されている昔話は183話にのぼり、序文は、柳田國男氏が書かれています。

 遠野といえば河童です。この本にももちろん河童の話も掲載されています。
  第十三番 上下の河童
 ただ、残念ながら、この一話だけでした。

2005/06/26

河童の歴史
鈴木光夫


  初版発行日:1983/4/10
  著者:鈴木光夫
  定価:非売品


 茨城県で小学校の校長をされていた方がまとめた河童の研究書です。

 市販された書籍ではなく、私家本です。

 目次は以下の通りになっています。

   河童の起源
   河童の誕生
    格式がさがった川の神
    浅葱を着た水の精の翁
    河童の誕生
    河童渡来の伝承について
    河童日本誕生説


2005/05/05

いわきの伝説と民話
いわき地方史研究会


  初版発行日:1977/9/4
  再版発行日:2004/10/20
  ISBN:4-924912-18-2
  出版社:いわき地方史研究会
  定価:1,905円+消費税

 いわき地方史研究会創立50周年を記念して発行された本の再版です。


 広告メールが届きました。

 いつもならば、見もしないで捨てるのですが、ちらっと内容を見て気が変わりました。

 その広告メールは、この本を扱う書店からのものだったのです。

 普通広告メールといえば、下ネタ物かうさんくさい金儲けの内容ばかり、でもそれは、民話の本の発行案内だったのです。

 おそらくこのホームページを見ていてくださる方が、私がこの種の本が好きなことを知っていて送ってくれた貴重な広告メールです。 ためらうことはありません、さっそく注文し、届いたのがこの本でした。

 仕事が忙しく、まだ充分に読んではいませんが、貴重な伝承が多数収録されているようです。次の休みにじっくりと読むつもりです。

 こんな本の広告メールならば大歓迎ですね。

 この本を購入希望の方がいらっしゃいましたら、私宛にメールを下さい。連絡先をお教えいたします。

2004/11/17

太田・新田の伝説
高橋光枝


  初版発行日:2003/10/24
  ISBN:4-901189-14-X
  出版社:あかぎ出版
  定価:1,800円+消費税

 新田郡笠懸村の役場に長く勤務された方がまとめられた、私の住んでいる太田市と、来年には合併する新田町の伝承・伝説集です。


 太田・新田地方は、我が国で初めて旧石器時代の石器が発見された岩宿遺跡や、東日本最大の前方後円墳である太田天神山古墳があるなど、 早くから人々が住みついて開かれていました。
 この地方に源氏の新田義重が新田荘を拓いて、新田一族が繁栄し、新田義貞は鎌倉幕府を倒す功績を挙げました。
 興味深い伝説がたくさん分布するこの地方は、この本を読んで頂いたら、伝説の舞台へ訪ねてくだされば、一層面白さが増すと思います。

まえがきより
 まえがきにもあるように、伝説の紹介ばかりではなく、地図や写真が豊富に掲載され、伝説探訪のガイドブックにような構成になっています。

 残念ながら、河童の話はまったく載っていませんでした。すぐ北隣の桐生市や赤城山の山麓の村や町には、河童伝承があるのですが、平地ばかりの太田・新田には 河童伝説がありません。そのあたりに、河童伝説の生まれの秘密があるのかも知れないと思っています。

 河童伝説は川と山で生まれる。平地である東京には河童伝承があると、反論する人もいると思いますが、それは、東京は田舎から出てきた人が 多く、伝説は他所から持ち込まれたのでしょう。牛久の河童伝承なども、調べてみると、ほとんどの伝承が、他の地方に存在する伝承と同じですからね。

2004/08/17

群馬のおもしろばなし
井田安雄


  初版発行日:1991/04/25
  ISBN:なし
  出版社:上毛新聞社
  定価:1,251円+消費税

 最近はめったに行かない、地元の古くからある書店で見つけました。

 ムラの古老の語るむかしばなしの中には、軽い笑いをさそう話がある。ちょっとしたおかしみがあり、なるほどなあといって、ひざをたたいて納得しながら笑える笑い話がある。 これは、いわゆる江戸小咄にも通じる話であり、落語の世界の一部でもある。
(中略)
 本書でとりあげた笑い話は、県内各地からの報告のまとめである。内容は新旧さまざまであり、系統だったものではない。
 形も長短いろいろである。しいていえば、やや古い伝統をひく話(昔話とか古い形の世間話)と、新しい時代を反映した世間話に大別できよう。


まえがきより

 この本も、県内の学校の先生が、民話を収集する会で集めた話の中から、笑い話を抜粋してまとめた本です。

 10年以上も前に、ISBN番号も取らずに出版した(私家本ですね)本ですから、出版元が新聞社だったとはいえ、良くも、書店に残っていたと思います。

 こんなことがあるので、田舎の小さな書店めぐりは面白いのです。

 河童の話も、七話掲載されていました。

2004/08/16

狼の眉毛
佐々木徳夫


  初版発行日:2004/04/11
  ISBN:4-938965-57-7
  出版社:本の森
  定価:1,905円+消費税

 河童名所探訪の取材で出かけた東北で、偶然見つけた、岩手県の陸前・陸中の昔話を集めた本です。

 1975年から郷土の伝説・昔話・民話信仰・農事民俗などを調査する。特に、時勢の流れで昔話の消滅に危惧を漢字、教職の傍ら その最終に時間をさく。宮城を中心に隣県の岩手・福島にも足を運び、西遊できた話数は1万余話にのぼる。「みちのく昔話研究会」主宰、1992年、第26回 吉川英治文化賞受賞。

筆者経歴より

 民話に対する私のスタンスは、ただ、古い廃れつつあるものを収集することではありません。

 昔と現代とでは、価値観が違う。昔も、そのまた昔とでは価値観が違う。人から人へと、語り言葉で伝承する民話は、時代と共に、語り手の価値観と共に変化するのです。

 本来、伝承文学である民話は、時代の変遷と共に、価値観を変えながら変化するものであるのだが、印刷文化の発達とともに、ある時代の民話が固定化され、 伝承としての、価値観が変化するべき民話が、変化を止められてしまった。そこに残っているのは、古い価値観をそのままに、化石のような民話がほとんどであると思っています。

 しかしながら、時代と価値観を比較する上でも、古い伝承民話の収集は欠かせない。収集が大切なことであるとは思っています。

 ただ、現代となっては、収集は難しい。仮に収集活動をしたとしても、それは、うろ覚えの話だったり、語る本人の、 現代の価値観を、問われるままに、話しながら付け加えた話にされてしまっているのではないか。そんなことから、私自身は、 収集活動をしていません。

 しなくても、すでに、この本の著者のように、数十年前から収集活動をしている先輩が大勢いて、それを私家本などで残している。それを収集し、 分類し、新たな創作民話への資料としたい。そう考えているのです。

 民話の収集は、明治以降盛んになっています。すでに100年が経過しているのです。そんなことから、その地方のオリジナルな民話と 思われている話が、実は、他の地方の受け売りだったりすることが多く、その話が、その地方でオリジナルに創作されたものなのかを判断することは 難しいことと思っています。

 この本のタイトルになっている「狼の眉毛」も、日本国内では珍しいテーマのようですが、韓国民話に類似の話があるようです。陸前と韓国との古くからの かかわり(冷麺は、韓国がルーツであっても、日本の盛岡で生まれた麺料理であることは、良く知られています)から、ありそうな説と思います。

2004/07/20

妖怪談義
柳田國男
柳田國男妖怪談義


  初版発行日:1977/04/10
  ISBN:4-06-158135-X
  出版社:講談社
  定価:621円+消費税

 遠野物語の作者である柳田國男が、妖怪をテーマに著した本です。

 われわれに畏怖というものの、最も原始的な形はどんなものだったろうか。何がいかなる経路を通って、複雑なる品元の誤りや戯れと結合 することになったでしょうか。
 幸か不幸か隣の大国から、久しきにわたってさまざまの文化を借りておりましたけれども、それだけではまだ日本の天狗や河童、又は幽霊などというものの本質を、 解説することはできぬように思います。国が自ら識る能力を具える日を気永く待っているより他はない……
自序より

 河童の話題は3編。「河童の話」「河童の渡り」「河童祭懐古」として収録されています。

 「遠野物語」では、民話に残る河童話の収集でしたが、本書では、柳田翁が各地に残る河童の話を総合し、翁の河童への思い入れが語られています。

 民話ではなく、民話考なのです。

2003/11/23


江戸の妖怪絵巻
湯本豪一著


  初版発行日:2003/07/20
  ISBN:4-334-03204-4
  出版社:光文社
  定価:740円+消費税
 一般の書籍と思って買ったのですが、これが、河童の関連書籍だったのです(^ム^;)

 妖怪天国・日本。彼らの「爆発的増殖」は江戸時代に始まった。
 革命的妖怪本の登場、人と妖怪の意外な関係、日本妖怪史に残る事件など、妖怪たしは様々な場所で出没し、活動の場を広げていった。
 また、江戸時代の人々は妖怪たちとどのように付き合っていたのだろうか。
 20年以上、「妖怪」と名の付くものなら何でも収集してきた「日本最強の妖怪コレクター」が、豊富な妖怪図を中心に、妖怪たちのしたたかな素顔に迫る。
表紙返しより
 第5章の、107ページから114ページまでが、河童に関する話題です。

 まずは、このページでも紹介している「耳嚢」の記述から始まり、7枚の図版が掲載されている。

 実際に捕獲された河童の記録を紹介し、もしかすると、河童は実在したのかもしれない。どう思いますか?。そんな記述で終わり、筆者独自のコメントが無いのが 残念ですが、載せられている河童の図を見ていると、どれも亀に近い絵ばかりです。これはいったい何を意味するか……。

 日本の妖怪の中でも、河童は特異な存在のようですね。

2003/08/06

小江戸の民話
市川栄一著


  初版発行日:1996/07/31
  ISBN:4-87891-065-8
  出版社:さきたま出版会
  定価:1,400円+消費税
 この本も、地元の書店に設置されていた特設コーナーで見つけたものです。

 「小江戸」と呼ばれる地域は全国には多数あると思いますが、ここでの「小江戸」は、埼玉県の川越のことです。

 江戸時代、川越と江戸とは、利根川という大きな川を使った水運が発達していたことから、その関係は地理的距離を越えて深く、文化的にも 江戸の影響を強く受け、かつ経済的にも発展していた土地でした。そんな川越住民の誇りが、みずからの地を「小江戸」と呼んでいたのです。

 民話は、それぞれの地域の住む民衆の中から自然に生まれる場合と、他地域からの面白いお話が、伝聞として語り継がれるうちに、その土地の 民話として定着する例がありますね。江戸との交流が密であった川越なら、そんな他地域のお話が流入するチャンスも多かったのだろうと思いますし、 江戸の民話が形を変え、川越の民話となっているものもありそうです。

 取り上げられている50編の民話を、そんな観点から分析してみようと思っています。

2003/08/03

とちぎの民話への招待
上野直哲著


  初版発行日:1998/04/23
  ISBN:4-88748-007-5
  出版社:隋想舎
  定価:1,000円+消費税
 栃木県で、女性を中心にするグループが、子供への「読み聞かせ」を行っていたそうです。

 そんなサークルの活動から、どうせ話をするのならば、郷土の民話を聞かせたい、そんな気持ちから収集した新しい世代の民話収集の成果が 本になっています。

 民話収集の動きは、柳田国男氏の活動から、昭和の中期から大正時代にかけて盛り上がりました。その後、その火は消えかかったいたのですが、まったく 別の動機から、民話の収集が始まっていることはうれしい限りです。

 民話は、けして、江戸時代やそれに続く時代にだけあったのではないはずです。現代にも、現代の民話が存在するはずです。民話は、人がそこにいれば、自然に生まれるもの、人の心の表れが民話ですものね。

 偶然に地元の書店の片隅のコーナーで見つけたこの本ですが、現代民話を志向する私には、はっきりとした光が見えてきた、そんな感じを与えてくれた本でした。

2003/07/31

宮守物語
岩手県宮守村教育委員会編


  初版発行日:2002/10/31
  ISBN:なし
  定価:1,700円

 岩手県宮守村の道の駅「みやもり」で買った、早池峰山系の民話集です。

 この本も、ISBN番号が取られていない自家本です、末尾に連絡先を書いておきますので、入手を希望する方は問い合わせてください。
 大正12年、宮守村で生まれ育った語り部「佐々木トモ」さんの語る民話を、みやぎ民話の会代表である、小野和子氏がまとめた本です。

 7章から構成されています。

  1章:動物たちの世界
  2章:人と動物のまじわり
  3章:村に生きた爺さまと婆さま
  4章:おもしろい男たちの力
  5章:さまざまな女たちの姿
  6章:生き抜く息子や娘たち
  7章:果てなし話・一口話・なぞたて


 伝承の記録ではなく、人が言葉として語る語り口の文章で書かれています。かわいらしい民話ですし、漢字には振り仮名がふってあるので、子供にもよみやすい物語集です。

 また、ところどころには、農具や民具のイラストが、名称とともに書かれていて、資料としても面白い本です。

 岩手県宮守村教育委員会
 岩手県上閉伊郡宮守村字下宮守29-77
 TEL:0198-67-2111

2003/07/22

遠野の民話
遠野物語研究所 佐藤誠輔著


  初版発行日:2001/07/31
  ISBN:なし
  定価:800円

 遠野に河童と触れ合うための旅行をしました。そこで見かけて買った本です。

 ISBN番号が取られていない自家本ですので、書籍取次会社を経由していない本ですから一般の書店では買えないと思います。 末尾に連絡先を書いておきますので、入手を希望する方は問い合わせてください。
 遠野に民話を研究する「遠野物語研究所」という組織があり、そこの研究員をしてい方が書かれた本です。

 遠野というと、柳田国男氏の「遠野物語」が有名ですね、この研究所も「遠野物語」を研究することが主な活動のようですが、遠野の民話はそれだけではない。語り部の語り継ぐ民話もあります。そんな 民話の一部を集めたのがこの本です。

 50のお話が載っていて、その24番目には「観音様と河童」という項目があり、赤と青の兄弟の河童の話が載っています。その内容は「河童駒引き」や「河童の膏薬」など、全国各地に残っている伝承と同じです。遠野地方に オリジナルな話ではなく、広く流布された民話がアレンジされています。

 推測ですが、この地方にはおばあさんによる民話語りの伝統があり、一種の職業化していた。職業ですから、ネタが少なくては成り立たない。そのため、各地の民話を収集し、 参考にしながら話しを創っていたのではないか。日本中の民話が、遠野の人たちの感性で味付けされて残っているのではないのだろうか。そう思っています。

 各地の民話を収集し、文化人類学的に比較したら、地域による人情の差が現れ、面白い研究ができるでしょうね。

 遠野物語研究所
 岩手県遠野市中央通り2-11
 TEL:0198-62-0809

2003/07/21

遠野物語
新潮文庫:柳田国男著


  初版発行日:1992/05/25
  ISBN:4-10-104704-9
  定価:324円+消費税

 これはもう、言わずもがなの、民俗学創始者「柳田国男」氏が、民俗学に目覚めたきっかけを作った遠野の民間伝承を集めた本です。

 日本民族岳のメッカ遠野郷は現在の岩手県遠野市周辺にあたる。本書は、その遠野地方に、今なお語り伝えられている山男、山女、天狗、オシラサマ、オクウナイサマなどの民間信仰、 異聞怪談に視点をあてて採集整理したもので、特異な素材と流麗な文体によって物語の幻想的世界にまで達している。日本民俗学の先駆者柳だ国男の愛と熱情が行間に溢れる民族洞察の書である。
裏表紙より引用
 117の話が収録されています。その内の55から59までの5話が、河童の話です。

 遠野の河童の特徴は、体の色が一般の緑色ではないことですね。赤茶色との伝承が残っています。

 また、河童と一緒に、山男とか山女、あるいは天狗や雪女もでてきます。その姿は、背が高く大柄、色が白く目の色も普通の日本人と違う、鼻が高いなど、 共通点があります。

 まったくの私の仮説ですが、河童は男と女の子供、それも、白人なのではないだろうか。背が高く色白で目が青く鼻が高い。子供は日焼けして赤茶けた肌の色になっている。

 船が難破し、漂着したロシア人や欧米の船員家族が、山の中に隠れ住んでいた。鎖国の時代ですから、発見されたら捕らえられて殺されてしまう。そんな彼らを、住民が山に隠す。それを、 事情を知らない人たちが目撃して、山男や山女、天狗や雪女、はてまて、子供を河童と見間違えたのではないだろうか。

 今となっては、証拠はなにもありませんが、そんな風に推測しています。

 この本がきっかけとなり、民話の収集が全国的に流行ったのですから、内容だけではなく、社会的にも価値のある本ではないかと思っています。

2003/07/08

書籍 耳袋より
岩波文庫:根岸鎮衛著


  初版発行日:1991/01/16
  ISBN:4-00-302611-X
  定価:770円+消費税

 私の愛読書であり、「Albertの本大好き」にも紹介している本の中に、河童に関する記述がありました。

 この本は、町民出身でありながら、御家人の株を買い武士となり、その後、幕府の学校でのあまりの優秀さから役職を歴任。最後には旗本が就任できる役職としては 最高の地位である江戸町奉行にまでなった実在の名奉行「根岸鎮衛」が、日々の出来事を書きとめた私的な記録です。その巻一の53番目に河童の記載があるのです。

 天明元年の八月、仙台河岸伊達候の蔵屋敷にて、河童を打殺し塩漬けにいたし置由、まのあたりに見たるものの語りけると図を松本豆州持ち来り。 其子細を尋るに、「右屋敷にて小児など故なく入水せしが、怪む事ありて右堀の内淵ともいへる所を堰て水を替へ干けるに、泥を潜りて早き事風の如くものあり。 漸鉄砲にて打留しと聞及びし」由語りぬ。傍に由淵甲斐守ありて、「むかし同人河童の図として見侍りしに、豆州持参の図少しも違ひなし」といひぬ。
本書より引用
 仙台伊達藩の話となっていますが、これは、江戸屋敷の話ですから、宮城県の話ではありませんね。あくまでも東京での出来事です。

 実際に目撃した人の話を、人を通じて聞き(市井の情報を収集するため、上は大名・旗本から、下は浪人や行商人まで、広い人脈から情報を得ていたと伝えられています。 芝居やドラマでの名奉行、「大岡越前」や「遠山金四郎」の名判決は、実際は根岸奉行の仕事であったのではないかと推察されています。根岸鎮衛は、実際に記録に残る名判決を下している、 実在した本物の名奉行です)、この記載も、根岸鎮衛が書き留めた内容ですから、まったくの嘘話とも言い切れませんね。

 どんな河童だったのでしょうね。

2003/06/22

書籍 大利根百話
建設省関東地方建設局


  初版発行日:1987/11/24
  ISBN:なし
  定価:非売本

 利根川流域を管理している、当時の建設省関東地方建設局が、利根川にからむ治水事業の変遷と、利根川と人々とのかかわりや文化を収集してまとめ、関係者に 配布した本です。

 本文中に、利根川流域での河童を含む民話も取材して載せています。

 残念ながら、民俗学の専門家が編纂した本ではないことから、その記述は浅く広く、突っ込みが足らないきらいはありますが、北関東の民話の流れを調査するには 資料の一つになると思われます。

 川をテ−マにまとまられた本ですし、お役人の誰かが書かれたのだとは思いますが、河川管理技術論に偏らず、民俗学の祖である柳田國男氏の著作が数点引用されているなど、 おそらく、民俗学にかなりの興味を持たれている方が中心になって編集したのでしょうね。

 民俗学的な見地以外にも、江戸時代の川を使った物流の変遷などもテーマにあがっています。既知の文献を参考にまとめてあるので、研究用に使えるレベルの本ではありませんが、 、江戸の諸事情を手軽に知るには便利な資料になっています。

 あくまでも、自費出版として刊行された本なので、一般には入手が難しいとは思いますが、お役所も、粋なことをするな、そう思わせる1冊です。



2003/01/02

書籍 北越雪譜
鈴木牧之編


  初版発行日:1936/01/10
  ISBN:4-00-302261-0
  定価:602円+消費税(第46刷版)

 河童の話は残念ながらありませんが、江戸期に書かれた北陸の風俗や習慣、怪奇現象や民話などを、挿絵をまじえて紹介する雪国百科全書です。

 著者は、江戸時代(1770〜1842)に北陸塩沢の商家に生まれた人です。子供の頃から英明な人であり、町人でありながら漢学に長じ、 それだけではなく、絵画の世界では本職の絵師並みの腕前だったそうです。また、俳諧も好み、再三にわたって江戸に出て、当時の最高級の文化人 (滝沢馬琴や山東京伝、北斎などなど)とも交友を結んでいたそうですから、そうとうのお金持ち、お大尽だったのでしょう。

 この本は、山東京伝に校閲を受け、今で言う「自費出版」したのだそうです。

 北陸の逸話が中心ですが、面白いのは、「天麩羅の始源」という項があり、天麩羅という名前が、山東京伝がオリジナルに命名したものである との記述があります。筆者が直接に山東京伝から聴いた話だとも書かれています。天麩羅の命名については、各種の説がありますが、この、 山東京伝説はメジャーではありません。特に、料理人の世界では別の説(だいたいが、外来語説)が主流ですが、200年前に書かれたこの説の 方が正しいと、私は思っています。

2002/12/05

書籍 日本妖怪大全
水木しげる著 講談社文庫
本文中引用
 昔、高位の武土である中問が、小雨のふる夜に九段の弁慶堀の端を歩いていると、堀の中から中問の名を呼ぷものがある。子供でも落ちたのであろうとのぞきこみ、手をさしのべて救おうとしたが、まるで大石のように重く、逆に水中に引きずりこまれてしまった。中問ははじめて妖怪のしわざと気づき、あわてて 家に逃げ帰った。その体の生臭いこと、鼻が落ちるほどだった。
 人々はたぶん「河童」のしわざであろうと話し合った。
 これは「河太郎」とも呼ばれ、もちろん子供も川の中に引きこむが、時には牛馬さえも引きこむことがある。川に引きこむと、まず尻の穴から臓腋を取るといわれる。また地方によって、茄子、楓瓜などを取り畑を荒らすので、村ではこれを祀るところもあろ。
 また、享和(一八〇一〜一八〇四一のころ、水戸浦で「河童」を捕まえたものがいる。背の高さ三尺五寸あまり(約一.〇五メートル一、重さ十二貫一約四五キロ一くらいだったという。漁師の鰯網に四、五ひきかかって、みんな逃げ出したのだが、中の一びきが船の上に飛びこんできたので、棒でたたいたところ、赤子のへような鳴き声を出し屁を放った。その屁は、青臭いにおいがして、あらくれ男の漁師にとってさえ耐えがたいもので、二、三日においが消えなかったという。
 「河童」を見たという人は、東北などでは現在でもたくさんいる。「シバテン」(四国)とか「ひょうすき」(九洲)とか「ミンツチカムイ」(北海道)なども河童と同じであるが、感じはやはりそれぞれちがうであろう。また、「水虎」、(河伯)も同類のものであろう。
初版発行日:1994/06/20
ISBN:4-06-256049-6
定価:971円+消費税
 妖怪漫画の大御所、水木しげる氏は、全国の妖怪民話を収集したことでも、その業績が高く評価されています。

 この本の122ページに、日本の妖怪の代表である我らが河童が紹介されていますので掲載します。

 文章には、多少おかしなところもありますが(「高位の武士である中間」と書かれていますが、中間とは、最下位の武士ですよね)、 江戸の話として紹介しています。内容は、「河童駒引き」そのものですね。

2002/11/23

書籍 山島民譚集・河童駒引考   筑摩書房・岩波書店
  


 またまた本の紹介です。どちらも文庫本ですが、左が民俗学の祖である柳田國男全集5巻、この巻に「河童駒引」が収録されています。中央は河童駒引に類似する世界の民話を扱った「河童駒引考」、右は、東京大学出版会から出された「河童駒引考」の復刻版です。

 民俗学の祖である柳田國男先生は、学者ではありません。法制局に勤務するサラリ−マンでした。本業の傍ら、民話に取り付かれ、個人的な趣味として始めた研究が、 新たな学問の分野まで創ってしまったのです。学者では無い人が学問の分野を作る。痛快ですね。私達も、かく有りたいものです。

 その膨大な研究の成果は、分厚い文庫本にし32冊にもなります。その中の第5巻に収録されている「山島民譚集(一)」の冒頭が、有名な「河童駒引考」です。

 なにしろ、明治時代の文章ですから、読みにくい本ではありますが、河童愛好者のバイブルなのですから、読んでおかないわけにはゆかないですね。

 もう一つ、「河童駒引考」は、この伝説の類話を、朝鮮半島からヨーロッパ、ユーラシア全域に存在することを突き止めた筆者が、 「水と神と家畜」をキーワードに、人類文化史の観点から考察を行った、歴史民俗学の古典的名著です。

2002/11/17(2006/09/17修正)

書籍 現代民話考
立風書房


 今回は河童や民話の直接のお話ではありません。松谷みよ子氏のまとめられた全5巻の「現代民話考」を紹介します。

 民話を収集した全5巻にもおよぶ労作ですが、嬉しいことに、その第1巻の最初のテーマが「河童」です。まさに、「河童」は 民話の王様ということですよね。

 180ページにもおよび、女史の収集した各地の民話が紹介されています。また、おびただしい河童に関係する書籍(現代書籍です)の 記述も取り上げられています。これは一種の資料集です。

 順次、この本の中から、収集されている民話をこのページで紹介して行きます。

 著者:松谷みよ子
 出版社:立風書房
 初版発行日:1985.8.15
 ISBN:4-631-50191-5



 本書が、文庫本に改装され、ちくま文庫から再発行されています。立風書房版は、おそらく絶版になって入手困難と思いますが、文庫版ならば、現在でも 購入が可能です。

 書名:現代民話考(1)河童・天狗・神かくし
 出版社:筑摩書房
 形態:文庫
2003/06/16

日本のかっぱ水と神のフォークロア
監修 河童連邦共和国


  桐原書店(ISBN4-342-80370-4)
 河童連邦共和国が監修して出版された河童愛好家のバイブルです。

 ・描かれたかっぱ
 ・水にすむかっぱ
 ・心にすむかっぱ
 ・かっぱ列島縦断
 ・川とかっぱの町づくり
 ・かっぱコレクション
 ・かっぱ村を行く

 共和国大統領府と、全国の河童村が総力をあげて編集した河童のことならなんでも解る、と言うとちょっと大げさ ですが、そんな意気込みで編集されています。もちろん、著名な民話の収集家なども参加しています。

 河童にちなむ史跡や伝承、古い像や絵画の紹介から、連邦共和国の村として活動しているグループの紹介、国民が収集した かっぱコレクションも圧巻です。

 資料として面白いのは、全国の河童伝承がある地域を日本地図に表示した「伝承かけめぐり」、河童をテーマにした 歌や小唄を集めた「歌われたかっぱ」。

 また、浅草かっぱ寺(曹源寺)のかっぱ堂の天井に、昭和30年代の漫画家が 書いた河童絵が32枚ありますが、それがすべてカラー印刷で紹介されています。手塚治虫氏の、「鉄腕アトムかっぱ」 なんて、かわいくて涙ものですよ。




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